ドローイング サウンド パフォーマンス/描線の音楽」とは
「描く行為は演奏行為である」と定義しているこのパフォーマンスにおいて、ドローイングアクションから導かれる「線」は常に「音」を奏で、「音」は常に「線」として定着する。ここでの視覚と聴覚は連動し、さらにそれらは物同士をこすり合わせるという身体所作(即ち触覚)と繋がっており、ボーダーレスで総括的な体感をもたらす。
また、奏でられた音が消えゆく通常の音楽とは異なり、ここでの「音」は紙の上に時間を堆積させていくため、描かれた結果物を見るとき、描画行為の軌跡のみならず、奏でられた「音」をも追体験できる。
堆積が何層にも至る場合は、過去は塗り重ねられ見えなくなってしまうが、そうした画面への対峙は、あたかも廃墟を前にするかのような体験になぞらえられるだろう。
「香をきく」「酒をきく」という具合に、古来日本では、目に見えない微細な変化を感じ分けようとする姿勢に「きく」という語をあててきたように、このパフォーマンスにおいては「音をきく」ように「線をきく」、そしてそれらの境界を超えた総合的な「きく」という新しい感覚を目指している。
Concept and Direction: Sasaki Shiori
Performance: Sasaki Shiori & Kawashima Motoharu
Photography: Ma Raven
Videography: Bannai Hidenari
Copyright Sasaki Shiori, Kawashima Motoharu, Ham Tamago Sandwich | March 2022