白い水槽

これは、パフォーマンスアートのような、ただの日常よくある状況のような、あなたを含む一連の実験のようなもの。

パフォーマー3人の白い水槽と呼ばれる部屋。

お客さんが白い水槽をモニター越しに観察する客間。

今回のスペースくらげは、この二つの部屋に分かれます。2時間の中で白い水槽で起こる出来事を観察してください。そして、客間に来た観客のみなさまでその状況について、何でもいいので感じたことを共有してください。沢山のモニターの中で、もしかしたら白い水槽は、見る人それぞれ違う意味を持つかもしれません。

夜、隣から話し声がした。いままで挨拶もろくにしていないだれかの男女の声がする。どうやら3人くらいの声らしい。1人は女性、2人は男性かもしれない。どこか楽しげな会話をコンクリート越しの壁から会話を聞いているが、あんましよく聞こえないから聞こえる方法を試してみた。昔ドラマでよくやっていたコップの口を壁につけて。意外とうまくいかない。フィクションはフィクションだったようだ。今度は耳を壁に押し込んでも、まだ聞こえない。どうもつまらなくなって横になったら、不意に、言葉が湧いてきた。

反響は、耳ではなく、体から彼らが内側から湧いて出て私の体を言葉で触れて空気を温めていた。どうしようもない走り去っていく意味が、自分でもない誰かのために発せられた言葉が、関係ないとただ隣に住んでいる僕の体に触れて、行くあてのない残響で部屋を揺らしている。ただ聞いているだけで、なんだか仲間のような気がして嬉しくなった。これは一体誰なのだろうか。知りたいけどどうしようもない水槽のガラスが邪魔で出ていけない。

これがたとえ、そばに誰かがいて、横がおかしな友人だったとしても、異邦人で、宇宙人で、人でもないものがいたとしても、彼らは確かに横にいて、ただいて、在っている。

ぜひご高覧ください。